見る・読む・書く

(学年通信に掲載したコラムです)

見る・読む・書く

来週、3者面談が行われる。そのときに生徒及び保護者から出てくるフレーズとして、「結構、勉強時間は多い方だと思うんですけど、成績が良くないです。勉強の仕方が悪いのでしょうか?」がある。私がそういう生徒に確認するのが、「ノートを綺麗に書いていないか?」「試験前に授業の内容をまとめ直したりしていないか?」というものである。

別に綺麗なノートを取ることが成績に繋がらないわけではない。私も社会(主に歴史)だけは中学高校時代とノートをまとめ直して自分専用のノートを作成した。それを暗記することによって高得点を獲得していた。ノートをまとめ直すことで、思考する時間が増えて成績向上に繋がっていく。

ただ、タイパ(タイムパフォーマンス、時間的効率)はかなり悪い。よくクラスや授業で伝えるのが、「君たちは本を読むときに目で文章を追って読むよね。授業でも英語なんかは音読することもある。だけど、文章を書き写しながら読む人っていないよね。昔は写経といって、コピーなどができないときに自分で写すことはあったけどね。書くことってやっぱり時間がかかるんだよ。」ということ。だから、書くことを止めなさいとは言わないが、書いて覚える人は他の人と比べて3倍の時間は楽修するようにアドバイスしている。

実際、丁寧に板書を写したり、綺麗にまとめたりしている高2の柔道部員に、私は「家でノートをまとめ直すの禁止ね」とアドバイスした(授業中、綺麗に写すことは許可している)。そして、その時間を暗記や問題演習に充てるようにさせた。また、暗記に関しても「知らない漢字を覚えるために書くことは認めるけど、ひらがなやカタカナは音読して暗記するようにしなさい」と極力書いて覚えないように指導した。書く作業は問題を解く(アウトプット)時間だけにするようにした。そのおかげもあって、成績がかなり向上した。

結局のところ、小学校のときに漢字の書き取りなどで、「書いて覚える」ことが習慣になっているのだと思う。または先生がノート点検をするので、そこで良い評価を得るために綺麗にノートをまとめる生徒(上に書いた柔道部員がまさにコレ。)がいる。何度も言うが、書いて覚えることを否定していない。ただ、中学から高校に上がって覚える量が増えたにも関わらず暗記(反復)する回数が少ないとなかなか定着しない。まずは反復する回数を増やす ために、ノートを書く時間を減らしたらどうかというのが私のアドバイスである。

私の授業ではiPadで板書を撮影するのを許可している(他の先生が許可しているわけではないので注意すること)。それはノートを取るのに時間をかけすぎて問題演習ができない生徒がいるからだ。特に数学においては板書するよりも問題を解く時間を増やさないと、なかなか正解に辿り着けない。

 

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