僕はこうして「話さないこと」の重要性に気づいた

今月の3の日はこちらの本のコラムでも。
話すのが苦手な人も、この本を読んで
学んだことを実践してみましょう。

 

 

超一流の会話力 (きずな出版)

超一流の会話力 (きずな出版)

  • 作者: 渡部 建
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2022/11/29
  • メディア: Kindle版
結構役立つことが多いです。

 

 

僕はこうして「話さないこと」の重要性に気づいた
僕が「会話では、『話さないこと』が大事なんですよ」などということを言うと、読者の中には違和感を抱く人がいるかもしれません。テレビの中での僕は、ひとりで滔々と飲食店や映画などを紹介する役回りの人間でしたから。
でも、これは言ってしまえば「告知芸」という芸風の一種です。
仕事のそれ以外のシーン、たとえば、他のタレントの方との掛け合いや、ラジオの生放送番組のトーク、さらにはスタッフさんとの打ち合わせなどでは、自分が積極的に話すのではなく、「どうやって相手にうまく話してもらうか」を意識して仕事をしていました。
本書の冒頭でもお伝えしましたが、会話では、「どう話すか」よりも「どう相手に話してもらうか」のほうがずっと大事です。相手に話てもらうコツさえ身につけば、どんな会話も上手くいきます。なぜ、僕がそれに気づいたのか。その経緯をまず説明させてください。
芸能活動を始めた当初、ぼくはとにかく、「いかに自分がたくさんしゃべれるか」「いかにおもしろいことを言うか」に躍起になっていました。たとえば、「PLATOn」(J-WAVE)という約2時間のラジオの生放送番組のナビゲーターをしていたときもそうです。「PLATOn」は毎週月曜日から木曜日まで、さまざまな分野でかつやくしている人をゲストに招き、話を聞くという番組でした。
スタート当初の僕は、どんなゲストが来ても自分が積極的に話を拡げて、番組が盛り上がるように頑張っていたのを覚えています。そこには、「ゲストはしゃべりのプロではない。自分の方がしゃべりは上手いから、たくさん喋って会話をリードしなければいけない」という考えがあったのです。
でもあるときから、僕はこうした「自分が話すこと」中心のコミュニケーションスタイルをガラッと変えました。
ターニングポイントになったのは、2008年に「野宿」をテーマにした「野宿野郎」というミニコミ誌をつくっている編集長・かとうちあきさんという方がゲストに来てくださったときです。
このとき、僕は本当に困っていました。
なにしろ、テーマが「野宿」です。キャンプではなく野宿です。僕は野宿をしたことがないし、正直、したいと思ったこともない。だから、どう頑張っても話の広げようがありませんでした。さらにゲストのかとうさんも、テレビやラジオに出演するのは初めてで、トークに慣れていませんでした。
これはいくら自分ががんばって話しても、盛り上げようがない。
そこで、僕は思い切って、自分がしゃべるのをあきらめました。その代わり、僕はかとうさんに、「なぜ野宿をしてみたんですか?」「どういう経緯で『野宿野郎』という雑誌を作ることになったんですか?」などと質問を重ねまくり、自分は聞き役に徹することにしたのです。このとき意識していたのは「とにかく、かとうさんが気持ちよくしゃべれるようにしよう」ということだけでした。
すると、驚くべきことが起こりました。最初は少なかったかとうさんの口数ア、質問を重ねるごとにだんだん多くなり、話も興が乗ってってきて、驚くほどトークが盛り上がったのです。
それだけではありません。かとうさんがいかにして野宿の世界にのめり込んでいったのか、野宿の魅力はどんなところにあるのかーそのような「かとうさんワールド」が番組内で展開され、結果としてものすごく評判のいい回になったのです。
僕はこのとき、この「相手に話してもらう」というコミュニケーションスタイルが、この番組における正解なんだ……と、やっと気づきました。以降、かれこれ1500人以上のゲストの方とラジオ番組でお話してきましたが、間違いなくこの経験が活かされたのです。
そして、この一件以来、僕は他の仕事でも「いかに相手に気持ちよくしゃべってもらうか」を重視するようになりました。
テレビのバラエティ番組に出るときも、「いまは、誰がどんな話をするべきか」「どうすればその流れにスムーズにつなげられるか」ということを考えるようになったのです。
このようにコミュニケーションにおけるスタンスが「話すこと重視」から「聴くこと重視」に代わると、仕事のオファーが急激に増え始めました。しかも、仕事の種類も、MCなどが増えていきました。
これは本当に、自分でも驚くくらいの変わりようでした。

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