タモリさんは「話さない会話術」の達人

今月の3の日はこちらの本のコラムでも。
話すのが苦手な人も、この本を読んで
学んだことを実践してみましょう。

 

 

超一流の会話力 (きずな出版)

超一流の会話力 (きずな出版)

  • 作者: 渡部 建
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2022/11/29
  • メディア: Kindle版
結構役立つことが多いです。
タモリさんは「話さない会話術」の達人
ここまでの内容を読んで、こう思った人がいるかもしれません。
「『話さない』『聞くだけ』なんて簡単すぎる。わざわざ学ぶ必要なんてない。」
たしかに、そう感じるのも無理ありません。でも、じつは、それを出来ない人がほとんどなのです。自分ができるだけ話さないで会話を成立させるには、「相手に話してもらう」ことが必要になりますよね。
相手にたくさん話してもらうには、しっかり相手の話を聞く必要があります。そして、ここが大問題なのですが、多くの人は相手の話を「聞いているつもり」になっているだけなのです。
聞くことが出来ていない人のパターンは、大きく分けて2つに分けられます。1つは、「つい、自分が話してしまう」パターンです。たとえば、次のような会話はよくあります。
A「このあいだ、〇〇って映画を観たんだよね」
B「あっ、それ私も見た! 面白かったよね。あの映画ってさ・・・」
これは「話題の乗っ取り」です。相手の切り出した話題に便乗して、ついつい自分の話をしてしまうパターンです。Aさんが話したかったのは「自分が〇〇という映画を観た」という話題であり、Bさんがその映画を観たかどうかは、Aさんにとっては「どちらでもいいこと」です。にもかかわらず、Bさんは映画のタイトルに反応して、つい自分の話をし始めてしまいました。これが問題です。
もしかしたら、Aさんがそのあとに話したかったのは、その映画の内容とは別の話かもしれません。たとえば、
「最初に流れた予告編で、来年に自分の好きなマンガが映画化するって知ったんだよね。すごく楽しみ」
「前の席のカップルがずっとイチャついていえ、すごくイライラした」
かもしれません。
こんなふうに、自分の話を相手に中断されて、言いたいことが言えなかった経験をしたことがある人はすくなくないのでしょうか。これはやられた側に非常に大きなフラストレーションを与えます。
「話題の乗っ取り」のやっかいな点は、やらかしても自覚しにくい点です。自分がたくさん喋れたので、当人は、「今の会話は盛り上がったな」「いい会話だったな」と感じやすいのです。また、相手が「話題を横取りされた」と感じても、大方の人はいちいちそれを指摘したりしません。でも、心の中では「話したいことがあったのに、話せなかった」というモヤモヤ・わだかまりを抱えてしまいます。
「話題の乗っ取り」で相手の話題を奪うと、いつの間にか相手にフラストレーションを与え、嫌われる原因を作ってしまうのです。もし、あなたが過去に、とくに悪いことをしていないのになぜか嫌われている・避けられている人がいるのだとしたら、その原因は、その人の話をきちんと聞いていなかったことにあるかもしれないのです。
ちなみに、僕が芸能界のなかでこうした「話したい欲」を抑えるのがすごいと感じたのがタモリさんです。若い方だと見たことがないかもしれませんが、昔、タモリさんがMCを務める『森田一義アワー 笑っていいとも!』という昼の生放送番組があって、そのなかに「テレフォンショッキング」というコーナーがありました。様々な芸能人がゲストでやってきて、15分くらいタモリさんと一対一のトークをするコーナーです。そのとき、タモリさんはどんなゲストが来て、どんな話題が出ても、基本的には相手に話をさせて、自分は徹底的に聞き役に回ります。
じつはタモリさんはものすごい知識人です。「ブラタモリ」や「タモリ倶楽部」などの番組を見ると、さまざまな方面で専門家顔負けの、オタク並みの知識を持っていることがわかります。普通だったら、相手の話題に自分の知っていることがあったら、自分が話したくなってしまうものです。でもタモリさんはそれをぐっとこらえて、相手の話したいことに任せていました。あれはなかなかできそうでできない芸当です。
それくらい、自分の「話したい欲」を抑えて、相手の話を聞くことに専念するのは難しいことなのです。

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