文構造をとる

学年通信に掲載したコラムです。

 

これは私の三者面談における十八番なのだが、下の文章を日本語訳してほしい。

The Japanese language has throughout its history accepted with comparative ease many words from other languages.

中学時代、塾などで「英文は最初に主語を言ったあとに後ろから訳していけばいいんだ」と教わっている生徒はこのような感じで答える。

「日本語は他の言語からたくさんの言葉を比較的簡単に受け取った歴史を持っている」

まぁ、そんなに間違っていないのだが、この訳し方をしている限り長文を読み続けると誤訳してしまうだろう。中学時代なら日本語を繋ぎ合わせるだけで和訳ができたかもしれないが、3行以上続くような文章は日本語に変換することは困難である。

学年通信第064号と第064号に出てきた私の英語の師匠である刀禰先生の授業で言われた、「お前ら、何で学校の授業を習っているか知っているか? 入試の文法問題を解くためじゃない! 英文を日本文にするためだ!」というセリフは決して忘れることができない。

文法で習った5文型や時制、不定詞や関係詞などは英文を読むために学んでいる。予習の段階できちんとそれを確認しながら和訳をしていかないといけない。特に文型に関しては修飾語のMを意識するといいだろう。修飾語はその名の通り「飾り」なのでオマケである。よってあとで肉付けすれば良い。今回の例題では前置詞句がたくさんある。前置詞句は修飾語なのであとで考えることにする。ということで( )で括ってしまう。そうすると、

The Japanese language has (throughout its history) accepted (with comparative ease) many words (from other languages).

となる。このカッコで括られた部分を取り除くと

The Japanese language has accepted many words .

となり、実はhasとacceptedが現在完了になっているので、「日本語は沢山の言葉を受け取り続けている」という日本語になるのだ。ここに前置詞句で飾ってあげると「日本語は他の言語からたくさんの言葉を比較的容易に、歴史上ずっと受け取り続けている」となる。日本語は漢字・ひらがな・カタカナと表記方法がたくさんあるので、外来語を簡単に日本語として取り入れることができるということをこの文章は述べているのだ。

たぶん、多くの英語の先生が授業中に文型を取りながら生徒に指導している。生徒も「なるほど~」と思いながら理解しているのだが、それを自分で行っていないのだ。だから模試などの長文が全く読めないのだ。よって、日頃の授業の文章からきちんと構文を考えながらいけないし、そこまでして初めて予習と呼べるものになる。どうしても単語や熟語の意味を調べて予習が完了していると勘違いしている生徒が多い。まぁ、私も高校時代そうだったので、あんまり強く言えないのだが……。

ということで予習をするならここまでしてほしい。古文にしても意味調べで終わらすのではなく、動詞や助動詞の意味まで考えながら現代語訳するところまで行うのだ。こういうのを毎日継続していると、急に文章が読みやすくなる。私も夏休み1日7時間これを行っていたが、夏休みが終わったら急に英文がスラスラ読めるようになり、模試の結果が急上昇した。

 

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