文の読み方。1

(学年通信に掲載したコラムです。)

以前、担任をしていたころ、帰国子女の生徒に国語の成績を向上させるために読書を勧めたら、「日本文はまどろっこしいから読書したくない」と言われたことがあった。どういうところがまどろっこしいのかを聞いたところ、「最後まで読まないと何が言いたいか分からない」「修飾語が多すぎて最後まで読む気が起きない」とのことだった。確かに日本文はそんな特徴がある。

 

 

文章で一番大事なのは主語(S)と述語(V)である。ここがしっかりしていれば、大体の文意は通じる。英語の場合は<SVOC>の順番に並んでいる。言い換えると大事なことを先に述べる型になっている。授業で学ぶ関係詞や不定詞も後置修飾と呼ばれるもので、その前にある単語を後ろから説明している。

 

 

それに対して日本文は<SはOやCでVする>の順番で、最後に大事なVが登場する。それこそ、否定する場合は一番最後なので、最後まで聞かないと何を言いたいのか分からないのだ(英語は述語の前にnotなどをつけてくれている)。これが帰国子女の生徒が日本文はまどろっこしいという理由なのだろう。

 

 

中学生の時に、学校や塾の先生から「英文を読むとき、Sを訳したあとは後ろから順番に訳すといいよ」って教わった人も多いと思う。何故だか分かるだろうか。それは、その順番に訳すると、たいてい、日本文の順番になるからである。

 

 

例えば There is my house by the hospital. という文章がある。きっと皆は「There is」構文だと気付いて、「~がある」という訳し方をして「病院の近くに私の家がある」と和訳するだろう。もちろん正解なのだが、アメリカ人も同じように解釈しているのだろうか。もちろん、異なる。大事なことを最初から伝えているので、アメリカ人的な日本語訳をすると、どうなるか伝えたい。

 

まず大事なこととして、今あなたは友人と道を歩いて友人の家に向かっているシーンを設定する。頭の中にイメージしてほしい。

 

話をしながら道を歩いていると友人が「あれだよ(There is)、私の家(my house)。ほら、病院の隣にある(by the hospital)!」と喋っただけ なのだ。この感覚を持つと英文が読みやすくなる。(この話をかなり昔にLHRでしたときに、上記の帰国子女の生徒に「先生、正解です。よくできました!」と褒められた。苦笑。)

 

話を少しそらすが、その文章の設定(分かりやすく言えば、会話文か評論文のどちから)を意識するとaとtheの違いはハッキリすると英語の個人塾を営んでいる私の大学の先輩が仰っていた。

 

話を戻すと、このようにして、日本文と英文は文構造が異なるので、日本人が英文を読むようになるには、アメリカ人と同じ感覚で文章を読む(スラッシュリーディング)か、SVOCMと構造をとって日本文になるように変換する(英文解釈)かどちらかを選択しなければならない(両方できるのが理想である)。中学校の文章は一文が短いから単語の意味が分かれば、日本文になるように単語を並び替えればいいだけなのだが、大学入試では一文が長いのでそれでは通用しない。

 

私は中学時代、英語の偏差値は60を切ったことがない。高1高2もそんなに悪くなかった。ただ、高3になった途端、一気に偏差値が40まで落ちた。英文が読めなかったから「単語と熟語を極めよう」と思って暗記を頑張ったら、河合模試の偏差値が55まで上がったが、これが限界だった。ただ、通信第065号にも掲載したが、浪人して刀禰先生に出逢って「これだ!」と思って頑張ったら偏差値がMAXで67かな? マーク模試でも180点近く取れるようになった。

 

多くの生徒は先生が授業でSVOCの構造を書いてくれたのを見て「おぉ、そういう訳なのか!」とは思っても、自分が予習するときはノートに文章を書き写して、単語熟語を調べても、そのあと、先生と同じように構造をきちんととって和訳しない。中学時代と同じように、知っている英単語を日本文になるように適当につなぎ合わせて終わりにしている。それが英語の成績が向上しない理由の1つである。

コメントは停止中ですが、トラックバックとピンバックは受け付けています。