文の読み方。2

(学年通信に掲載したコラムです。)

以前、担任をしていたころ、帰国子女の生徒に国語の成績を向上させるために読書を勧めたら、「日本文はまどろっこしいから読書したくない」と言われたことがあった。どういうところがまどろっこしいのかを聞いたところ、「最後まで読まないと何が言いたいか分からない」「修飾語が多すぎて最後まで読む気が起きない」とのことだった。確かに日本文はそんな特徴がある。

 

 

文章で一番大事なのは主語(S)と述語(V)である。ここがしっかりしていれば、大体の文意は通じる。英語の場合は<SVOC>の順番に並んでいる。言い換えると大事なことを先に述べる型になっている。授業で学ぶ関係 詞や不定詞も後置修飾と呼ばれるもので、その前にある単語を後ろから説明している。

 

 

それに対して日本文は<SOCVする>の順番で、最後に大事なVが登場する。それこそ、否定する場合は一番最後なので、最後まで聞かないと何を言いたいのか分からないのだ(英語は述語の前にnotなどをつけてくれている)。これが帰国子女の生徒が日本文はまどろっこしいという理由なのだろう。

 

 

と、ここまでは前回と同じ文章をそのまま掲載したのだが、ここで質問。

 

 

では、漢文(中国語)はどのような順番に並んでいるのだろうか?

 

 

正解は英語と同じ順番である。世界を見渡しても、日本語の順番は珍しい部類に入るらしい。よく日本人は外国語の習得を苦手としているとニュースで言われるが、文型や単語の成り立ちが異なるので当然といえば当然である。逆にこの学年通信でも「語源とイメージで覚えるLEAP」と称して、英単語の語源を解説しているが、フランス語やドイツ語もラテン語などを由来としているので、他の言語の単語を覚えやすいのだから日本語以外の他言語の習得もそれほど難しくない(そういう意味で、日本語を習得している外国人の皆さんは本当に凄いと思う)。

 

 

ということで、漢文を読むときに一、二点やレ点があるが、あれも日本人が日本文の形になるように並び替えるためにつけているのであって、中国人はそんなものを使わずに読む。

 

 

漢文は漢字で書かれているから、日本人は読みやすいと思うが、英文と同じ型で書かれているのでそこも意識しないといつまで経っても読めるようにはならないだろう。さらに、漢字といってもどれが名詞でどれが動詞か理解しないといけないので、英単語同様にきちんと単語を暗記しないといけない。そして、「主語にはきちんと〇をつけてSVを意識するべき」とはT石先生からもらったアドバイスである。

 

 

たとえば、「受動態」の文章を考える。英文では「be動詞+過去分詞」を用いるのだが、漢文の場合は「見+動詞」である。たとえば「見疑」と書かれていれば「疑われる」となる。ちなみに「見」以外にも「被」「為」が用いられる。また、「使役」の場合、英文ならば「make O C」などがあるが、漢文ならば「使(命) O 動詞」となる。そんな英文を読むような感覚で漢文を読めるようになると一気に上達できるだろう。また、模試などで国語の偏差値を上げたければ、まずは漢文の楽修に取り組むこと を勧める。他の人 はあんまり勉強していないので、簡単に差をつけることができる。

 

 

 

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